ゑんぷの空虚

支離が滅裂

やさしい嘘つきなら

そっと弱音を吐くときは、身勝手に生まれたこの気持ちを、誰にも伝えてはならないと思ったとき。悲しいかな、所謂もやもやした気持ちを明確に言語化出来てしまう。だって今までずっとそうしてきたから。喉に詰まる感情がどうして起こるのか、説明する訓練をひたすらにやってきたから。だからやるせなくても、どこにも、誰にも、当たれない。歪んでいるのが自分だと知っているから。お腹が空いて泣く子供のように、体が不快で泣く赤ちゃんのように、わけも分からず泣き喚きたい。大人になると思ってもないことがさらさら口から出てくる。思案を巡らせすぎて、もはや自分の本心がどこにあるのか、分からない。咄嗟に言う。私は大丈夫。あなたはすごいね。今の私は大丈夫じゃないし、やさしい気持ちにはなれない。それなのに嘘ばかりついて、良い人のフリして、本当は中身はグズグズなのに、その魂胆が気持ち悪い。私は寝る前になるとそんな自分を許せなくなる。だけどせめて、やさしい嘘つきなら、きっと誰かに許されたらなって願いながら夜を耐える。本当は自分以外の誰かのこと、傷つけたくないだけなのかもしれない。