ゑんぷの空虚

支離が滅裂

短篇集Ⅱ

どうでもいいこと話してたい。忘れられるのがいちばんこわいから。あなたがずっと私を忘れませんように。多分何年も同じ気持ちなんじゃないかな。

忘れっぽいから日記を書く。事実よりもその時の気持ちのまま、その日の匂いだけ記されていればいい。うれしかったことは全部下書きに入れたまま、誰にも内緒の記事が溜まる。

近頃背伸びして明るい言葉を選んでいる。他人への配慮だ。ただ、自分に嘘をついている気分になる。虚勢を張っているだけではないか?自嘲しているくらいが、息がしやすい。誰かに伝えようとしすぎると、駄文ばかりになる。説明くさいのは嫌いだ。言葉や音を並べるのに、本当は意味なんて要らないし、意味を求めるのも間違ってる。言いたいことなんて本当は何もない。繰り返される呼吸、排泄に近い。

頭が痛い。どうせ眠れないなら、あの日のことを思い出す。どう考えても今日がましだ。

因果応報、私が地獄に落ちた時。生き物は不思議だった。食べ物を受けつけず、起き上がることもままならず、嫌な記憶だけひたすら反芻した。少しでも優しくされれば、その衝撃で壊れたように涙が出る。ちっともどこも悪くないのに、自分の身体がこんな風になるなんて、驚いていた。よかった、人の心があったのか。

人生の最低はなかなか更新されない。この四半世紀で、ほとんどの最低を知り尽くしてしまったのかな。絶対そんなことないのに。

自分のお世話で精一杯、毎日身体が痛くてたまらない。段々余裕が無くなっていく。好きなものを生み出す人を妬ましく思う、やりたいことが出来ない自分が嫌になる。

ちょうど眠くなってきた。